ゲームの面白さを作る12の要素:個人開発で使えるチェックリスト

どうも、いしだです。
今回は私がゲーム開発の際に参考にしている「チェックリスト」についてのお話です。
これはAIゲーム開発においても有用だと思います。

ゲームを作っていると、「もう少し何か面白い要素を追加したい」と感じる場面があります。
そのとき、ランキング、育成機能、コレクションなど、よくある機能を安直に追加しても、ゲームが面白くなるとは限りません。制作量だけが増え、ゲームの中心がぼやけてしまうこともあります。

そんな時に検討したいのは、プレイヤーにどのような感情を残したいかを先に考えることです。

そこで私は、自分のゲームの企画や改善に使うため、ゲームの面白さを12項目に整理しました。

この記事のポイント

  1. 追加する機能ではなく、プレイヤーに残したい感情から考えます。
  2. 12項目すべてを入れず、ゲームに合う項目を選びます。
  3. 企画前とプロトタイプ完成後の2回に分けて確認します。

 

ゲームの面白さを構成する要素を12項目に分けた理由

ゲームに追加できる機能は多数あります。

ランキング、レベル、収集、ストーリー、キャラクター、演出など、候補を並べるだけなら難しくありません。

しかし、なぜその機能を入れるのかの目的をはっきりと意識したほうが良いと思います。

たとえば、ランキングを付ける目的は、順位を表示すること自体ではありません。
プレイヤーに「前よりうまくなった」と感じてもらいたいというのが主な目的です。であれば、順位だけでなく、自己ベストや過去記録との差も見せた方が目的に合います。

収集要素も同じです。
アイテムを並べることが目的ではなく、「もっと集めたい」「次は何が手に入るのか見たい」と感じてもらうために用意します。

などなど、私は、自分のゲームの企画を考えるときや、完成したプロトタイプへ機能を追加するときの参考として、12のチェックリストを作りました。

ミニゲームだけを対象にしたものではなく、私自身が個人開発で扱うゲーム全般を想定しています。

MDAフレームワークと8つの感情体験を参考にした

なお、チェックリストは、ゲームをMechanics、Dynamics、Aestheticsの3つに分けて捉える「MDAフレームワーク」を参考にしています。

MDAフレームワークでは、「Aesthetics(感情的反応)」として、プレイヤーがゲームから受け取る代表的な感情体験を8つ挙げています。
その内容は、感覚的快楽、空想、物語、挑戦、社交、発見、表現、思考を止めて没頭する心地よさです。

参考:MDAフレームワークでゲーム体験を設計する技術

ただし、今回の12項目は、MDAの分類をそのまま置き換えたものではありません。
MDAフレームワークと8つの感情体験を参考にしながら、私自身のゲーム制作経験や考えを加えて作った独自チェックリストです。

個人開発の企画や改善で使いやすいように、単純に「どの機能を入れるか」というよりは、「プレイヤーにどのような感情を残したいか」という視点で整理しています。

 

ゲームの面白さの構成要素を考える12項目

No. 種類 プレイヤーに残る感情 ゲームに足す要素
1 惜しさ 次はできそう あと1秒で〇〇、あと1点で〇〇
2 上達感 うまくなっている 自己ベスト、ランク、連続成功
3 (操作の)気持ちよさ 触っていて心地よい 音、テンポ感、振動、エフェクト
4 (達成時の)爽快感 やり切った、スカッとした 連鎖、一掃、破壊、強敵の撃破
5 期待感 次は何が起きるか見たい 乱数、逆転要素、変化する反応
6 収集欲 もっと集めたい 図鑑、称号、スキン、バッジ
7 愛着 かわいい、会いたい キャラ、演出、反応、ボイス
8 発見 見つけたい、知りたい 隠し要素、条件分岐、小ネタ
9 選択感 自分で決めた ルート選択、リスク選択、強化選択
10 前進感 前より進んだ レベル、解放、段階的な難易度
11 物語性 続きが気になる 短い会話、世界観、結果コメント
12 無心感 何となく触り続けたい シンプル操作、短時間、低ストレス

それでは、これら12項目を一つずつ説明していきます

1:惜しさ:次はできそうと思わせる

惜しさは、失敗したにもかかわらず、もう一度挑戦する理由が残る状態です。

「あと1秒」「あと1個」「あと1点」とゴールとの差や、次のステージとの差、上位ランクとの差、世界プレイヤーとの差を見せることで、プレイヤーは失敗を単なる終了ではなく、次は届きそうな結果として受け止められます。

特に、一回のプレイ時間が短いミニゲームと相性の良い要素です。

プレイが終わった直後に「もう一回だけ」と思ってもらうには、難しかったという印象だけでなく、成功までの距離が見えることが重要だと考えています。

2:上達感:前よりうまくなったと伝える

上達感は、プレイヤー自身の操作や判断がうまくなっていると感じられることです。

自己ベスト、ランク、連続成功数などを表示すると、同じゲームを繰り返す意味を作れます。

短いゲームであっても、前回より少し良い結果が出たことが分かれば、プレイヤーは自分の変化を感じられます。

上達感は、ゲーム内のキャラクターが強くなる「成長感」とは異なります。

プレイヤー自身が、ゲームのルールや操作に慣れ、前よりうまくなったと感じられることが上達感です。

3:(操作の)気持ちよさ:一操作ごとの心地よさを作る

気持ちよさは、ボタンを押す、物を動かす、敵を攻撃するといった、一つひとつの操作に対する心地よさです。

入力に対する反応が速い、効果音が心地よい、エフェクトが分かりやすい、テンポよく進むといった要素によって生まれます。

大きな達成を待たなくても、プレイしている間に繰り返し感じられる面白さです。

操作するたびに小さなストレスがあるゲームは、ルールが面白くても繰り返し遊びにくくなります。

一操作ごとの反応を整えることは、面白さを支える土台になります。

4:(達成時の)爽快感:結果に大きな解放感を作る

爽快感は、強い敵を倒した、大量のブロックを消した、難しい課題を突破したときに生まれる感情です。

操作の気持ちよさが一操作ごとの体験であるのに対し、爽快感は一連のプレイをやり切った結果として生まれます。

連鎖、一掃、破壊、爆発、強敵の撃破などが代表的な仕組みです。

操作中の小さな心地よさを「気持ちよさ」と呼び、ゲームをやり切ったときの大きな解放感を「爽快感」と呼ぶと、両者を区別しやすくなります。

5:期待感:次に何が起こるか気にさせる

期待感は、毎回同じ結果にならず、次に何が起こるのか確かめたくなる感情です。

ランダムイベント、大逆転要素、レア演出、変化するキャラクターの反応などがあると、同じルールのゲームでもプレイごとの差を作れます。

論理的パズルのような解くことを目的とするゲームには当てはまらないですが、一般的な乱数のないゲームにおいては、結果をすべて予測できることは、新鮮さが失われることがあります。

そこで、少しの乱数や、逆転できるかも知れない要素や、次の変化を見てみたいという期待を残すことで、次のプレイを見る理由を作れます。

6:収集欲:もっと集めたいと思わせる

収集欲は、図鑑、称号、スキン、バッジなどを揃えたくなる感情です。

一回ごとのプレイ結果がコレクションとして残ることで、短いゲームにも長期的な目的を加えられます。

ゲームのクリアだけで終わらず、「まだ持っていないものがある」という状態を残せるのが収集要素の強みです。

MDAの8つの代表的な感情体験には、収集欲という項目は独立して含まれていません。

しかし、モバイルゲームを含む多くのゲームで、コレクション要素は繰り返し遊ぶ理由として使われてきました。

そのため私は、個人開発で確認する項目として、収集欲を独立させています。

7:愛着:キャラクターにまた会いたいと思わせる

愛着は、ゲームのルールだけでなく、キャラクターそのものをもう一度見たいと思う感情です。

表情の変化、ご褒美演出、失敗したときの反応、短い会話などによって、キャラクターを画面上の記号から記憶に残る存在へ近づけられます。

ゲーム性が同じでも、登場するキャラクターに愛着を持てれば、プレイヤーが受け取る印象は変わります。

愛着も、収集欲と同様に、私が独自チェックリストへ加えた項目です。

ゲームには昔から、キャラクターへの愛着によって遊び続けたくなる作品が多数あります。

特にキャラクターを前面に出すゲームでは、ルールや成長システムだけでなく、「またこのキャラクターに会いたい」と感じてもらえるかを確認します。

8:発見:まだ知らないものがあると感じさせる

発見は、ゲーム内にまだ見ていない反応や仕組みが残っていると感じることです。

隠し要素、条件によって変わる演出、小ネタなどを用意すると、プレイヤー自身が見つける楽しみを作れます。

先に挙げた「期待感」は、プレイ中に何が起こるか分からない楽しさです。

それに対して「発見」は、ゲーム内に用意された未知の要素を自分で見つける楽しさです。
脱出ゲームや探索系のゲームが顕著です。

すべてを最初から説明せず、「この操作をすると何か起こるかもしれない」「別の条件なら違う反応が見られるかもしれない」と思わせる余地を残します。

9:選択感:自分で決めたと思わせる

選択感は、プレイヤーがゲームの進み方に関与していると感じることです。

安全な道と危険な道、回復と強化、確実な得点と高得点への挑戦など、規模の小さな選択でも構いません。

選択肢の数を増やすことよりも、選んだ結果に違いがあることが重要です。

どちらを選んでも同じ結果になるのであれば、プレイヤーは自分で決めたとは感じにくくなります。

一回のプレイが短いゲームでも、小さなリスク選択を入れることで、プレイヤー自身が結果に関わった感覚を作れます。

10:前進感:前より先へ進んだと伝える

前進感は、ゲーム内のキャラクターや能力、解放要素が前進する感覚です。

レベルアップ、新しい能力、ステージ解放などによって、複数回のプレイを一本の進行としてつなげられます。
ほぼすべてのソーシャルゲームに入っている要素だと思います。

先に挙げた「上達感」は、プレイヤー自身の操作や判断が変化することです。
それに対し「前進感」は、ゲーム内に保存される数値や状態が前進していくことです。

プレイヤーの技術が変わっていなくても、キャラクターが強くなったり、新しい要素が使えるようになったりすれば、前より進んだと感じられます。

11:物語性:この先を見たいと思わせる

物語性は、キャラクターや世界がこの先どうなるのか知りたいという感情です。

短い会話、世界観、ステージ終了後のコメントなど、長いシナリオを用意しなくても物語の入口は作れます。

「ぷよぷよ」や「ストリートファイター2」などで、メインのパズルや格闘とは別に、各キャラごとにストーリーが存在します。
蛇足だと捉える人もいますが、ストーリーがあることによってキャラへの愛着がもう一段深くなっているのも事実ではないでしょうか。

一方で、ミニゲームでは扱いにくい項目でもあります。

物語を伝える前にプレイヤーが離れたり、続きを見せるためのコンテンツ量が足りなくなったりする可能性があるためです。

短時間で遊ぶゲームに物語を入れる場合は、プレイのテンポを止めず、短い演出や会話で続きを気にさせる工夫が必要です。

ミニゲームとは違い、ある程度作り込まれたゲームになると、愛着、選択感、成長感と並び、物語性の比重が高くなります。

12:無心感:何となく触り続けられる状態を作る

無心感は、深く考え込まず、何となくゲームを続けたくなる感覚です。

シンプルな操作、短いプレイ時間、分かりやすいルール、低いストレスによって作りやすくなります。

ゲームを始めるまでの心理的な負担が小さく、暇つぶしにサクサク遊べることが重要です。
ソーシャルゲームやパズルゲームに必要な要素だと思います。

ただし、刺激が弱すぎると、無心ではなく単調さにつながります。
気持ちよさ、爽快感、期待感と組み合わせる方が扱いやすいと考えています。

 

チェックリストを使う2つのタイミング

私自身は、このチェックリストは、企画時あるいはプロトタイプ完成後によく使います。

企画時:作りたいゲームに対しどんな感情を残すゲームにするか決める

まず作りたいゲームが浮かんだとします。
そこで、企画時点でどの要素が最初から備わっているかを考えます。
それに対し、相性のいい機能や追加要素を考えていきます。

たとえば、アクションゲームであれば、その性質上、「上達感」は最初から備わっています。
そこに対して「惜しさ」「爽快感」「選択感」などを感じられる機能を追加していきます。

脱出ゲームであれば、「発見」要素は最初から存在します。
そこに対し「愛着」「選択感」などが湧く機能を追加していきます。

このように、私は企画の時点から機能を足していくとともに、目指す感情から必要な機能を逆算しています。

プロトタイプ完成後:足りない面白さを探す

基本的なルールを実装した後には、実際に遊びながらチェックリストを見直します。

作ったゲームが面白くないなんてことは日常茶飯事です。
だからこそ、ここのチェックリストに立ち返ります。

操作は成立しているものの、もう一度遊ぶ理由が弱いのであれば、惜しさや上達感を検討します。
ちょっとストレスフルだと思えば、操作の気持ちよさや爽快感を見直します。
毎回同じ展開で飽きるのであれば、期待感や発見を加えられないか考えます。

なお、チェックリストは、ゲームへ点数を付ける採点表ではありません。
面白さが足りないと感じたときに、改善の方向を探すために使います。

 

ゲーム制作で大切なのは「遊んでほしい」というおもてなしの心

私は、ゲーム制作ってプレイヤーへの「おもてなしの心」だと思っています。

プレイヤーに楽しんでもらいたい、もう一度遊んでもらいたいという「おもてなし」を、具体的なゲーム演出・仕様へ変えていく。

ゲームをこう遊んでほしいので、チュートリアルを入れる。
最初は簡単なステージから始まる。
ここで、少し難しい操作が必要なので、ヒントを与える。
このタイミングでボタンを押せば成功しやすいので、ガイドがある。

などなど、これは基本的なゲームUI、ゲームデザインの話。

それに加えて、このチェックリストにおいても、
「ランキングを入れる」という機能一つにしても、「上達を感じてもらうためにランキングを入れる」と考えます。
キャラクターを追加する際も、「かわいいと思ってもらうために、どのような反応を見せるか」と考えます。

プレイヤーにどのような感情を持ち帰ってほしいのか。
その問いからゲームの機能を考えることが、このチェックリストの出発点だと思って、ゲーム制作を行っています。

そして、このような「おもてなしの心」というのは、きっとプレイヤーにも伝わると思っています。

 

ゲームの面白さを作る要素に関するQ&A

Q. 12項目が多く入っているゲームほど面白くなりますか?
いいえ。項目を増やすほど、制作量や調整する内容も増えます。それは、逆にゲームバランスを悪くする理由になると思います。私が個人開発で使う場合は、ゲームの題材や規模に合わせて3〜6項目程度を目安にしています。

 

Q. このチェックリストはミニゲーム専用ですか?
いいえ。ミニゲームだけでなく、私が個人開発で扱うゲーム全般を想定しています。短時間で遊ぶアクションゲームでは、上達感、気持ちよさ、惜しさを取り入れやすく、パズルゲームなどでは爽快感、前進感、期待感が必要だと考えています。

 

Q. チェックリストはいつ使えばよいですか?
ゲーム制作時で完成前であればいつでも使えます。私自身は、企画時とプロトタイプ完成後の2回ぐらいで使っていますが、人それぞれだと思います。機能を追加したい場合や、現時点での構成要素の確認に使っています。

まとめ

ゲームに機能を足すときは、ランキング、育成、収集、ストーリーなどの名前から考え始めがちです。
しかし、同じ機能でも、プレイヤーに何を感じてもらうために入れるのかによって役割は変わります。

今回の12項目は、MDAフレームワークと8つの代表的な感情体験を参考にしながら、私自身のゲーム制作経験や考えを加えて整理したものです。

12項目すべてを一つのゲームへ入れる必要はありません。
逆にゴチャゴチャしたゲームになってしまうと思います。

ゲームの規模や題材に合わせて項目を選び、プレイヤーにどのような感情を持ち帰ってほしいのかを考えると、また違ったゲームづくりができるのではないでしょうか。

私は、ゲームを作る側の「遊んでほしい」というおもてなしの心を、具体的な仕組みへ変える。
そのための確認表として、このチェックリストを使っていきます。

それではまたー

 

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