どうも、いしだです。
今回は#13で紹介した「ゲームの面白さを考えるチェックリスト」から、「愛着」と「選択感」を中心に逆算してゲームを作成してみました。
愛着を持てるキャラクターに、服や小物を自分が選択して身につけてもらう。そこから逆算して作ったのが、着せ替えゲームです。
私が作ったレッサーパンダの女の子「ラスカ」のイメージをGPT Imageにて清書してもらい、「ラスカのおしゃれコーデ」という着せ替えゲームを設計しました。
Fable 5で企画を考えてもらい、Codexを用いてコーディングと画像生成を行い、2日ほどで仕上げたものになります。
衣装や小物の画像もCodexのimagegen(GPT image 2)で作りました。
実際に完成させてみると、短時間で遊べるミニゲームとしては成立しました。
一方で、着せ替えゲームとして製品リリースまで考えるなら、現在の状態からボリューム不足と品質を数段階引き上げる必要があるとも感じました。
この記事のポイント
- 「愛着」と「選択感」から逆算し、着せ替えゲームの企画を作った
- ミニゲームとして成立しても、着せ替えゲームとしてはボリュームや品質が足りないと感じた
- AIで作った後にも手間をかけることが、AI開発においては差別化になる
AIで「ラスカのおしゃれコーデ」を作ってみた
今回作った「ラスカのおしゃれコーデ」は、レッサーパンダの女の子、ラスカちゃんに服や小物を着せるゲームです。
プレイヤーは、公園でのピクニック、夏の海辺、図書館、発表会など、行く場所や季節に合わせてアイテムを選びます。
コーデは100点満点で採点されますが、100点になる組み合わせは一つだけではありません。TPOさえ合っていれば、プレイヤーが自分の好きなコーデを選べるようにしました。
本編は全7ステージです。すべてのステージで100点を取ると、隠しステージ8が解放されます。
その後も100点を取ることで次のステージへ進み、最終的には全10ステージ、1000点満点を目指します。
隠しステージでは「かぶりもの」や「くつ」も加わり、コーデの難しさも上がります。
このゲームで最も大切にしたのは、行く場所に合わせてアイテムを選ぶことです。
ちなみにですが
ちなみに、こういったゲームでは、現実で経験できないシチュエーションをお題にしても面白いです。
たとえば、謝罪会見に出席する服、王宮の晩餐会、魔法学校への入学など、現実から離れた題材でも構いません。
着せ替えという同じ仕組みでも、シチュエーションを変えることで、アイテムを選ぶ理由や完成したコーデの面白さを変えられます。
ミニゲームとしては成立している
さて、「ラスカのおしゃれコーデ」は、短時間で遊ぶミニゲームとして見るなら、ある程度の体裁を保てています。
ゲームの目的は、シチュエーションに合ったコーデを選び、高得点を取ることです。ルールは画面を見れば把握でき、複雑な操作も必要ありません。
100点を取れるコーデを一つに限定していないため、決められた答えを探すだけのクイズにもなっていません。
2回目の挑戦からはヒントが表示され、行き詰まったプレイヤーも答えに近づけます。
ミニゲームでサクサク遊びたい場合のお助けモードです。
これは必要ないかも知れません。
そして本編7ステージをすべて100点でクリアすれば、隠しステージも解放されます。
- 遊び方が分かりやすい
- 短時間で最後まで遊べる
- 高得点を目指す目的がある
- 複数の正解から自分で選べる
- ヒントを使って再挑戦できる
- 隠しステージと特別なエンディングがある
という、暇つぶしに無料で遊べるWebミニゲームとして考えれば、一通りのプレイサイクルは成立しています。

100点になって喜ぶラスカちゃん
しかし、着せ替えゲームとしてはボリューム不足が否めない
しかし、「自由にコーデを楽しむ着せ替えゲーム」として考えると、ボリューム不足な印象は否めません。
着せ替えゲームでは、アイテムを選ぶこと自体が遊びになります。そのため、選べる服や小物が少なければ、プレイヤーが感じられる自由度も狭くなります。
ここで、何が足りないかを考えたいと思います。
このゲームの肝となる3つの要素
- ラスカちゃんをかわいいと思えること
- 自分でコーデを選べること
- 選んだコーデがシチュエーションに合っているか、画面で確認できること
現在は、この3つを成立させる土台まではできています。
一方で、着せ替えゲームとしての完成度を高めるには、どうしたら良いでしょうか?
製品リリースできる品質に上げるには何が必要か
ここで、実際にゲームを遊んだ読者にも考えてもらいたいことがあります。
「ラスカのおしゃれコーデ」を、無料のWebミニゲームから製品としてリリースできるゲームへ数段階引き上げるなら、何が必要でしょうか。
私が必要だと感じているのは、次の要素です。
画像と配置の品質を調整する
まずはマイナスを減らす方向です。
よく見ると分かりますが、ノイズがあったり、色がはみ出ていたり、目のイラストが白抜きになっていたりします。
この品質のまま製品リリースするわけにはいきません。
- 画像の荒れや位置を修正する
- 線の太さや塗り方などを整える
- アイテム同士の重なり順を確認する
- すべての組み合わせを目視確認する
という作業が必要になってきます。
面倒ですが、必要です。
一つのアイテムだけを見れば問題がなくても、別の小物や靴と組み合わせたときに不自然になる場合もあります。
製品としてリリースするなら、画像生成AIが出した素材を配置して終わりにはできません。
ラスカちゃんの可愛さを演出で伝える
そして、ここからは追加要素です。
足りないボリュームを増やしに行きます。
考えられるのは、ラスカちゃんの表情やリアクションの追加です。
100点を取ったときには、ラスカちゃん自身がもっと喜びを表現してほしいです。
- 満面の笑みで飛び跳ねる
- その場で一回転する
- 得意そうなポーズを取る
- キラキラしたエフェクトが出る
- 特別な効果音が鳴る
など、点数だけを表示するよりも、ラスカちゃんが喜ぶ姿を見せた方が、達成したことがプレイヤーに伝わります。
愛着を持ってもらうには、キャラクターの見た目だけでなく、プレイヤーの行動に対する反応が必要です。
また、100点以外のリアクションも増やせます。
少し場違いなコーデなら、困った顔で首をかしげる。明らかにミスマッチな服装なら、思わず笑ってしまうなど、最低点に近いコーデを作ったときだけ、特別な隠しアクションを表示しても面白いと思います。
プレイヤーが意図的に変なコーデを探し始めれば、失敗が新しい遊びに変わります。
選んだコーデをシチュエーションの中で見せる
次に、パーティー用のコーデを選んだなら、パーティー会場にいるラスカちゃんを表示したいです。
海辺なら砂浜、図書館なら本棚、冬のイルミネーションなら光る街、大切な発表会ならステージです。
選んだアイテムと背景を組み合わせた結果画面を用意することで、本当にその場所へ出かけたような感覚を作れます。
製品として作るなら、数字だけでなく、画面を見たプレイヤー自身が「この服なら似合っている」と感じられるところまで作り込みたいです。
自由に選べるだけのアイテム数を用意する
そして、着せ替えゲームでは、アイテム数がそのまま遊びの幅につながります。
現在のトップス、ボトムス、かざり、こもの、かぶりもの、くつを増やすだけでなく、色違いやテーマ別のセットも必要になります。
- 普段着
- お出かけ着
- パーティー衣装
- スポーツウェア
- 季節の衣装
- 職業を題材にした衣装
- ファンタジー衣装
- 隠し衣装
正解となるアイテムを増やすだけではありません。
採点を気にせず、自分がかわいいと思うコーデを自由に作れるモードも欲しくなります。
本来は、私が中心にしたいのは、100点を取る楽しさよりも、自由にコーデする楽しさです。
採点は、アイテムを選ぶ理由を作るための仕組みです。
製品としての着せ替えゲームでは、正解から離れても遊べる自由さを残したいと思います。
当然、増やせば増やすほど目視による全てのアイテムの画像チェックは必要です。
コーデを記念写真として残せるようにする
プレイヤーが作ったコーデは、その人なりの成果物です。
採点後に画面が切り替わり、作ったコーデが消えてしまうのはちょっと寂しいです。
そこで、次のような機能が考えられます。
- コーデの記念写真、アルバム
- お気に入り登録
- 端末への画像保存
などなど、それぞれの背景で撮影した写真を残せれば、全ステージをクリアした後にも成果が残ります。スマホの待受で使ってもらえたりもするかも知れません。
また、収集要素としても使えます。
高得点を目指す遊びとは別に、お気に入りの一枚を集める目的が生まれます。
着せ替えゲームの「面白さ」とは何か
こういった着せ替えゲームの「面白さ」を考えると、最終的にはボリュームへ帰結すると私は思います。
着せ替えゲームでは、プレイヤーが用意されたアイテムの中から服や小物を選び、自分なりの組み合わせを作ります。
このとき、選べるアイテムが少なければ、どれだけ操作が分かりやすくても、試せる組み合わせはすぐに見えてしまいます。
「どの服を着せようか」と迷う時間が面白さになるゲームだからこそ、選択肢の多さが、そのまま遊びの広さ、面白さにつながります。
さらに、完成したコーデを見せる背景やリアクションも欲しいです。
海辺の服を選んだなら砂浜にいる姿を見たいですし、発表会の服を選んだならステージに立つ姿を見たいですし、場違いな組み合わせを選んだときには、ラスカちゃんが困ったり笑ったりする反応があれば、その組み合わせも一つの発見になります。
つまり、着せ替えゲームに必要なボリュームとは、衣装の数だけにとどまりません。
- 選べる衣装や小物の数
- 組み合わせによって変わる見た目
- コーデを見せる背景
- キャラクターの表情やリアクション
- 完成したコーデを残す写真やアルバム
こうした要素が積み重なることで、「次は別の組み合わせを試したい」という気持ちが生まれます。
短時間で高得点を目指すだけなら、少ないアイテムでもミニゲームとして成立しますが、着せ替えゲームの面白さは、選べる量と、選んだ結果の違いから生まれます。
その両方を充実させようとすると、必然的にボリュームが必要になります。
「ミニゲームを人間のアイデアで面白くする」というテーマから少し外れてしまうかも知れませんが、着せ替えゲームは、ミニゲームだと表現しきれないことが分かっていただけたと思います。
あるいは、ミニゲームでも成立する新しいフォーマットを考える必要があります。
素材は増やせても、リリースにはもうひと手間かかる
今回のゲーム開発にはCodexを使い、衣装や小物の画像もCodexのimagegen(GPT image 2)で作りました。
だから、めちゃくちゃ短時間で作れています。
以前なら、何十種類もの衣装素材を一人で用意するだけでも、大きな負担になっていたと思います。
しかし、画像を生成できることと、ゲームに使えるアイテムが完成することは同じではありません。
今回はWebでのミニゲームということで、「雑に作って」リリースしましたが、
本来は生成後には、次の作業が残ります。
- ゲームに使える画像を選別する
- 不自然な部分をレタッチする
- キャラクターの体に合わせる
- サイズと位置を調整する
- デザインの雰囲気を統一する
- 他のアイテムとの重なりを確認する
- 実際の画面で表示を確認する
- 不具合を修正する
ある程度はAIもやってくれます。
Claude CodeやCodexの機能で、ズレまで確認するすらできます。
しかし、わずかなズレやヨゴレが人間には気になることがあります。
何を採用し、どこを直し、ゲームの中でどう見せるかは、人が判断する部分として残ります。
省略したくなりがちな工程に手間をかけることが、AI開発における差別化になると私は考えています。
AIを使ったこと自体が、作品の価値になるとは限りません。
AIによって作業を速めた後、浮いた時間をどこへ使ったかが重要だと思います。
私の尊敬する開発者の「ふるあぷ」さんから言われた言葉に、「それ(面倒な作業)を『やるか、やらないか』だけですよ」と言われたことを覚えています。
手間がかかる題材を最初から避けるという考え方もありますが、多くの開発者が避けるなら、最後まで作り込むことに価値があると思っています。
まとめ:AIで早く作った後、どこまで手をかけるか
「ラスカのおしゃれコーデ」は、愛着と選択感から逆算して作った着せ替えゲームです。
行く場所に合わせてアイテムを選び、100点を目指すミニゲームとしては、一通り遊べる形になりました。
しかし、着せ替えゲームとして製品リリースを考えると、現在のままではボリューム不足な印象があります。
AIでミニゲームを作ろうとして着せ替えを題材にしましたが、製品としての完成度を求めるほど、ミニゲームでは収まらなくなりました。
これは着せ替えゲームだけでなく、料理、トッピング、部屋作りなど、プレイヤーが何かを組み合わせて完成させるメイキングゲーム全般に当てはまります。
AIによって、ゲームの土台や素材を作る速度は上がりましたが、その先で、どれだけ素材を増やし、調整し、キャラクターの反応を作り込めるか。
面倒な工程を省かずに積み重ねることが、AI開発における差別化になると私は考えています。




