どうも、いしだです。
今回は10年ほど前にiOS/Android向けに制作したミニゲーム「大根ゴリラ」についてのお話です。
先日書いた「キャラクターのリアクションでゲームを面白くする」に通じるものがあります。
ゲーム内の状態を表すには、必ずしもゲージや数字である必要はありません。
私はワンボタンゲーム「大根ゴリラ」で、大根の残量をゴリラのキャラの焦る表情に変えてみました。
そのゴリラが焦った顔は、当時小学生だった甥にもウケた、印象に残るリアクションになりました。
今回もCocos2d-xで制作した過去のゲームを、ブラウザ上で遊べるように、AIと協業して移植しました。
今回もCodexを利用して丸1日で移植できました。
これぐらいのスケールのゲームであれば、Codexを用いて短期間に開発できると思います。
この記事のポイント
- 大根の残量を、ゴリラの焦った表情として見せた
- ゲームオーバーやスコアも、動きや見た目に変換した
- アニメ的な誇張演出によって、笑いや愛着を足せた
大根ゴリラは、道路で大根をおろすワンボタンゲーム
「大根ゴリラ」は、ゴリラが道路の上で大根をおろし続けるワンボタンゲームです。
操作はジャンプだけです。ゴリラが地面にいるあいだは大根をおろし続け、スコアとなるグラム数が増えていきます。その一方で、大根は少しずつ削れていきます。
大根がなくなる前に、画面奥から運ばれてくる新しい大根をジャンプして取ると、再び大根をおろせるようになります。
地面に残れば、そのあいだは大根をおろし続けられます。しかし、そのまま粘り続けると大根がなくなります。
反対に、早めにジャンプすれば大根がなくなる危険は減りますが、ジャンプしているあいだは大根をおろせません。
また、着地のたびに多くの大根が削れていきます。
そのため、プレイヤーは路面の削れ方を見ながら、もう少し粘るか、今のうちにジャンプするかを判断します。
また、大根は太い大根、普通の大根、細い大根の3種類がランダムで運ばれてきます。
そのため、細い大根を取ってしまうと、すぐに乗り換えないと無くなりますし、太い大根を取ると、1回見送るという判断ができます。
しかし、大根をおろす地面の粗さの順番は毎回同じです。
つまり、ステージが同じなので、大根を取るときの判断力のゲームになります。
ゲーム性としての面白さはこういう点でしょうか。

ジャンプして新しい大根を取るべきか、粘るべきかを判断する
「道路で大根をおろしたら速そう」という思いつきから作った
ちなみに「大根ゴリラ」は、ゲームシステムから考え始めた作品ではありません。
もともと私は、「ゴーゴリくん」というゴリラのキャラクターを使って、何かゲームを作ろうと考えていました。
そんなとき、電車の車窓から流れていく道路を眺めていました。
景色がとても速く流れていく様子を見て、ふと「この道路で大根をおろしたら、早くおろせそうだ」と思いました。
そこから、道路の上でゴリラが大根をおろすゲームを作ることにしました。
発想とはそんなものだと思います。
日常の中で思いついた変な組み合わせも、短いゲームの題材になります。
大根の残量を、ゴリラの焦った表情に変えた
そして「大根ゴリラ」で最も大事にしたリアクションは、大根が減ったときの表情です。
ゲーム内には、大根がどれだけ残っているかを示すゲージがあります。
これはモバイルゲーム版では表示してなかったのですが、今回移植するにあたり、分かりやすいかと思い、追加したものです。
ゲージを見れば、大根の残量自体は分かります。
ただし、ゲージだけで伝えられるのは、「大根が少なくなっている」という情報です。
そこで、大根の残量が少なくなると、ゴーゴリくんが激しく焦るようにしました。
大根に余裕があるときは、普通の顔で大根をおろしています。
残量が少なくなると、目を見開き、顔全体で慌て始めます。
つまり、大根の残量を示すゲージが、ゴリラの感情メーターにもなっています。
残量が少ないことを伝えるだけなら、ゲージを赤くすれば良いです。
しかし、キャラクター自身が焦ることで、危険な状態を知らせながら、笑える場面も作れました。

残量があるときは余裕の表情

残量が少なくなると必死の表情
アニメで見かける大げさな驚き方を取り入れた
焦ったゴーゴリくんの顔は、現実のゴリラが見せる表情を再現したものではありません。
アニメやギャグマンガで見かける、大げさな驚き方を取り入れています。
キャラクターが驚いたとき、目を大きく見開いたり、顔色が変わったり、全身で慌てたりする表現があります。
現実の人間は、そこまで大きく顔を変えないですが、アニメ的な誇張表現では、感情を一目で伝えながら笑いを生む表現として成立しています。
私は以前から、キャラクターが必要以上に驚いた顔をすること自体に面白さを感じていました。
そこで、その表現をゴーゴリくんにも使いました。
大根が少なくなったという小さな出来事に対して、ゴーゴリくんがとても大きな反応を見せます。
リアクションが面白いため、ただの残量警告ではなく、短いコントのように、楽しい状況を演出できるようになりました。
ゲームオーバーを、ゴリラが転がる動きに変えた
また、大根がなくなるとゲームオーバーになります。
そのとき、ゴーゴリくんが道路の上を転がっていくようにしています。
これは、ゲームオーバーという状態を、キャラクターの動きへ変換した例です。
マリオシリーズでも、ゲームオーバー時にマリオが飛び上がって画面外に落ちていく動きがありますが、それと似たような演出ですね。
プレイヤーが失敗したことは、文字を読まなくても伝わります。
転がっていく姿には笑える部分がありますが、同時に少しかわいそうにも見えます。
笑いだけでなく、キャラクターへの愛着も混ざったリアクションになりました。
ちなみに、下の例ではゴーゴリくんが180度ひっくり返っていますが、このひっくり返る角度はランダムにしており、毎回変化をつけています。

転がっていったゴーゴリくんと、おろせた大根の量
スコアを、大根おろしの量として見せた
ゲーム終了後のリザルト画面では、おろした大根のグラム数を表示しています。
数字だけでも結果は分かりますが、「大根ゴリラ」では、スコアに応じて大根おろしの表示量も変わるようにしました。
少ないスコアで終わったときは、表示される大根おろしも少量です。
スコアを伸ばすと、画面に表示される大根おろしの量が増えていきます。
これにより、「何グラムおろしたか」という数値を、目で見える結果へ置き換えました。
数字だけでなく大根おろしの量も変えることで、今回のプレイでどれだけおろしたのかを見た目でも感じられるようにしました。
焦る表情とは別の演出ですが、ゲーム内のパラメータを見た目へ変換するという考え方は同じです。
実績バッジとローカルランキングも追加した
また「大根ゴリラ」には、繰り返し遊ぶ理由として、実績バッジとローカルランキングも入れています。
実績バッジは10種類で、実績の条件は、最初から一覧で確認できます。
- 大根を1000グラムおろす
- 新しい大根を30回取る
- ギリギリの状態から10回復帰する
などなど、実績を達成すると、条件に応じたバッジがもらえます。
すごくシンプルな収集要素です。
また、ランキングは、インターネット上の全プレイヤーと競うものではなく、端末内に保存されるローカルランキングです。
プレイヤー名は「PLAYER」で固定されていますが、自分の過去の記録と比べたり、自己ベストを確認したりできます。
これらは、ミニゲームとして1回プレイして終わりだとあまりにも寂しいなと思ったので、複数回プレイするための理由付けのためです。
ちょっと安直で短絡的に追加したものではありますが、無いよりはマシかと思います。
当時小学生だった甥にも、ゴーゴリくんの顔や挙動がウケた
「大根ゴリラ」を当時小学生だった甥に遊んでもらったところ、ゴーゴリくんの焦った顔や、ゲームオーバーで転がっていく姿を見てケラケラ笑っていました。
少なくとも私の身近な一例では、スコアや実績よりも、キャラクターの表情や挙動が笑いにつながりました。
ゲームを作る側は、ルールや得点の仕組みに意識を向けがちです。
しかし、遊ぶ側が最初に注目する部分は、必ずしもゲームシステムとは限りません。
変な顔、予想外の動き、かわいらしい反応が、ゲームの印象を決めることもあります。
「大根ゴリラ」の場合は、大根をおろす仕組みよりも、追い詰められたときのゴーゴリくんや、転がっていく様子の楽しさが印象に残ったゲームになりました。
大根ゴリラに入れた4つの面白さ
「大根ゴリラ」に入れた要素を、私がゲーム制作で使っているチェックリストに当てはめると、主に次の4つです。
| 面白さ | 大根ゴリラに入れた要素 |
|---|---|
| 笑える | 焦った顔、転がっていくゲームオーバー |
| 愛着 | ゴーゴリくんの表情や動きの変化 |
| 上達感 | 自己ベストとローカルランキング |
| 選択感 | 地上で粘るか、ジャンプして大根を取るか |
この中では、焦った顔による「笑える」と、リアクションによる「愛着」が強く機能しているでしょうか。
上達感や選択感もありますが、私自身は、このゲームを長時間遊び続けるほどゲーム性が深いとは考えていません。
想像していたよりも1回のプレイが早く終わり、大根をおろし続ける爽快感も十分には育ちませんでした。
正直に言えば、ゲーム自体はそんなに面白くないなとは思っていますが、ゴーゴリくんに愛着が沸き、ダウンロードされなくても良いからと、リリースしてみました。
今では「ゴーゴリくんというキャラを代表するゲーム」として気に入っています。
キャラクターのリアクションをゲームに落とし込むQ&A
はい、ゲーム内の状態を分かりやすく伝えながら、笑いや愛着を足せます。
「大根ゴリラ」では、大根の残量が少なくなると、キャラクターが激しく焦るようにしました。
ゲージだけでも残量は伝わりますが、キャラクター自身が反応することで、ただの警告表示が印象に残る場面へ変わります。
実はあらゆるパラメータをリアクションに変換できます。
その中でも、プレイヤーが頻繁に確認するパラメータから考えると、リアクションへ変換しやすくなります。
- 体力が減ると、キャラクターが弱った表情になる
- 制限時間が少なくなると、慌て始める
- 連続成功すると、喜び方が大きくなる
などなど、色んな方法があります。
いいえ、そうとも限りません。
リアクションは、状態を分かりやすくし、笑いや愛着を足す要素です。
一方で、操作の気持ちよさ、ルールの駆け引き、繰り返し遊びたくなるゲーム性とは役割が異なります。
「大根ゴリラ」でも、焦ったゴリラの顔は面白いという評判が聞かれた一方で、ゲーム性の評価に関しては芳しくなかったのが実情です。
まとめ:大根の残量計を、ゴリラの感情メーターに変えた
「大根ゴリラ」は、道路で大根をおろしたら早くおろせそうだという思いつきから作ったワンボタンゲームです。
ゲーム内では、大根の残量をゲージだけでなく、ゴーゴリくんの表情でも見せました。
大根に余裕があるときは普通の顔でおろし続け、残量が少なくなると激しく焦ります。
そしてゲームオーバー時には、ゴーゴリくんが道路の上を転がっていきます。
リザルト画面では、獲得したグラム数に応じて大根おろしの量も変えました。
これらはすべて、ゲーム内のパラメータや状態を、表情、動き、見た目へ変換した演出の例です。
大根の残量をゴリラの感情として見せたことで、危険な状態そのものが、キャラクターを楽しむ場面になりました。
キャラクターのリアクションは、ゲーム性とは別の面白さを足せる事が分かりました。
操作やルールを変えなくても、キャラクターが焦る、喜ぶ、転ぶといった反応を加えることで、笑いや愛着を生み出せるという制作例になりました。
AIでゲーム開発をしていると、指示のない限りはキャラクターのリアクションへの転換は自動的にはやってくれないと思います。
こういった演出をミニゲーム開発に取り入れてみても、楽しい表現ができるのではないでしょうか。
きっとあなたのキャラクターにも、笑いや愛着が生まれると思います。
それではまたー。


