#16 パズルゲームのスッキリ感を設計する:5つの型から考える面白さの作り方

どうも、いしだです。
今回は私の好きなジャンル・パズルゲームについてのお話。

パズルゲームをクリアした時、頭の中が「スッキリ!」な快感を覚えることがあります。
私は、この「スッキリ感」をどこで生み出すかが、パズルゲームの面白さを考えるうえで重要だと思っています。

今回は、様々なパズルゲームから、スッキリ感を設計する方法を考えます。

この記事のポイント

  • パズルゲームでは、解けた後にスッキリした感覚が残る事が重要
  • スッキリ感の生まれ方は、プレイヤーが使う思考やゲームの仕組みによって変わる
  • パズルゲームの型によって、スッキリ感に何が重要かが変わってくる

 

パズルゲームのスッキリ感を作る5つの型

パズルゲームと一口に言っても、その種類は様々です。
そこで生まれるスッキリ感は、すべてが同じ仕組みから生まれるわけではありません。

私なりに整理すると、代表的な例として次の5つの形があります。

代表例 スッキリする瞬間
閃き型:謎解き 脱出ゲーム、謎解きクイズ 手掛かりの意味がつながる
推論型:論理パズル ナンプレ、マインスイーパー 条件から答えが確定する
対応型:消去系パズル 3マッチ、テトリス、ぷよぷよ キレイに消せたり連鎖反応
整理型:盤面操作パズル ソリティア、二角取り、2048 盤面を整理してノルマを達成する
予測型:物理エンジンパズル Cut the Rope、Angry Birds 予想した動きが成功する
なお、
この5つですべてのパズルゲームを分類できるという意味ではありません。
スッキリ感が生まれる代表的な仕組みを、私なりに整理したものです。
そして、一つのゲームが複数の型にまたがる場合もあります。

分類すること自体が目的ではなく、自分が作ろうとしているパズルゲームで、どの気持ちよさを中心に置くのかを考えるための整理です。

 

閃き型:謎解きで手掛かりの意味がつながる

初心者が作るとするならもっともオススメしたいのがこちらのタイプです。
私が5つの中で最もお手軽かつ高確率でスッキリ感を覚えるのは、閃き型の謎解きです。

脱出ゲームでは、部屋の中を調べながら手掛かりを集めます。まず、探索してアイテムを集めるという楽しさが最初からついてきます。

さらに、見つけたアイテムや記号が何を意味しているのかを考え、別の場所で見た情報との関係に気づいた時に、謎解きとしてのスッキリ感が生まれます。

探索によって材料を集める → 手掛かりの関係へ気づく → 実際に仕掛けを解除する
までの点と点が線につながることで、単純なクイズとは違った気持ちよさになります。

脱出ゲームや謎解きゲームは、点と点をつなぐ「ヒント」の与え方が重要

 

自作の脱出ゲーム「Password is 1616」

私が過去に制作した「Password is 1616」も、手掛かりを探しながら謎を解き、脱出を目指すゲームです。

私はこのゲームで、タイトルの「Password is 1616」そのものを謎解きの材料として使いました。
つまり、パスワードは「1616」であると最初から明かしているのです。

その情報を大事な場面で別の形に変えて提示することで、最初から見ていたタイトルが謎を解くための手掛かりへ変わります。

たとえば、ゲーム内に「? … si drowssaP」と表示される場面があります。

これは「Password is ?」を逆から並べた表現です。その規則に気づけば、タイトルに含まれている「1616」も逆から読み、「6161」という答えを導けます。

タイトルは通常、ゲームの内容を伝えたり、作品を覚えてもらったりするために使います。「Password is 1616」では、そこへ謎解きの役割も持たせました。
この作品ならではのスッキリ感を作れたと思っています。

「Password is 1616」というタイトルから、このパスワードが連想できるようになっている

「Password is 1616」というタイトルから、このパスワードが連想できるようになっている

 

推論型:論理パズルで答えを確定させる

次に、推論型。代表例は、ナンプレやマインスイーパーです。

この型では、一つの大きな閃きによって答えが出るというよりも、与えられた条件を確認しながら、答えにならない候補を少しずつ除外していきます。

ナンプレでは、同じ行、列、ブロックに入っている数字から、空いているマスへ入れられる数字を絞ります。一つのマスが確定すると、その情報を使って別のマスも考えられるようになります。

推論型のスッキリ感は、曖昧だった盤面が論理によって確定していくことから生まれます。

私の場合、推論型は頭を使っている感覚が強く残ります。
正解へ一気に到達するというより、条件を確認しながら積み上げていくため、解き終わった時には考え切ったという達成感も加わります。

古来のマインスイーパーでは、正解が確定しないという「運ゲー要素」が存在してしまっていてユーザーの不評を買っていたのですが、最近ではその運の要素を完全に削除したマインスイーパーも登場しています。

推論型パズルを作る場合は、頭を使えば確実に解ける盤面を用意することが重要

 

対応型:キレイに消したり連鎖をつなげたりする

対応型の代表例は、3マッチパズル、テトリス、ぷよぷよです。

落ちものパズルでは、次々に現れるブロックやぷよを見ながら、その場で置き場所を判断します。ただ消し続けるだけでなく、次に来るピースや現在の盤面を見て、複数消しや連鎖につながる形を作っていきます。

対応型のスッキリ感は、盤面をキレイに消すことや、準備していた連鎖が狙いどおりにつながることから生まれます。

一方で、落ちものパズルにはアクションゲームに近い面白さもあります。

ブロックやぷよが画面上部まで積み上がった状態から複数消しや連鎖を成功させ、盤面へ余裕を取り戻したり、ノルマを達成した時には、強い敵をギリギリで倒した時に近い解放感があります。

ステージに消去数や得点などのノルマがある場合も、残り時間や残り手数が少ない状態で達成できれば、スッキリ感に達成感が加わります。

対応型は、だんだん難しくなり、最後の方はギリギリでクリアできるようなレベルデザインが重要

 

整理型:盤面を整えて選択肢を取り戻す

整理型の代表例は、ソリティア、二角取り、2048などです。
ジグソーパズルもここに含まれるでしょうか。

整理型に共通するのは、バラバラに見える盤面を、操作の積み重ねによって少しずつ整えていくことです。

私の感覚では、整理型は推論型ほど頭を使い続けなくても遊べるゲームが多く、なおかつ、必ずしも解ける必要がないです。

ソリティアや二角取りでは、乱数によって解けないパターンも生成されますが、解けないことすらゲームの面白みとして受け入れられています。
2048は、一応2048を生成できれば勝利のはずですが、終わりがなく、そのままゲームは続きます。

整理型は、操作するほど、完成やクリアへ近づくようにすることが重要(論理型と違って必ずしも解ける必要はない)

 

予測型:物理エンジンパズルで動きを成功させる

そして最後に、予測型。
予測型と分類しましたが、要は物理エンジンゲームなどの、物体がアクションしていくパズルゲームです。

Cut the RopeやAngry Birdsなど、狙った場所へ届くように操作します。

この型では、答えを頭の中で考えるだけでなく、実際に動かした後の結果まで含めて一つのパズルになります。

物理エンジンゲームの良いところは、見ているだけでも心地いいところです。

「かぶせろ!ヅラショット!」で予測型を作る

私も、カツラを飛ばしておじさんの頭へかぶせる「かぶせろ!ヅラショット!」という物理エンジンゲームを制作しました。

このゲームでは、カツラの飛び方を見ながら角度や勢いを調整し、頭へうまくかぶせられた時に気持ちよさが生まれます。

予測型のスッキリ感は、自分が思い描いた動きと、画面内で起きた動きが一致した時に生まれます。

予測型は、シビアにしすぎず、ある程度の試行錯誤で解けるようにする事が重要

 

一つのパズルゲームに複数の型が入ることもある

今回取り上げた5つは、ゲームを一つずつ分けるための分類ではありません。

脱出ゲームの中に論理パズルが入ることもあれば、物理エンジンパズルの攻略方法に閃きが必要になる場合もあります。

たとえば倉庫番は、箱を動かす順番だけを見れば整理型ですが、難しいステージでは、閃きによって攻略方針を見つけ、盤面操作によって完成へ近づけるパズルとも考えられます。

ただ、複数の型を組み合わせる場合も、どのスッキリ感を主役にするのかを決めておくと、ゲームの方向が散らかりません。

 

余談:AIはパズルゲームのスッキリ感まで作り始めている

余談ですが、私はClaude Code(Fable 5)に「ギミックが20個ぐらい入った脱出ゲームを作ってください」とだけ伝えてみました。

私が試した範囲では、この一文だけで2D脱出ゲームが完成しました。
もちろん、画面のクオリティや謎の質、操作性まで、人間が時間をかけて調整した作品と比べると、ずいぶん低品質ではありました。

それでも、部屋を調べ、手掛かりを集め、謎を解き、最後に脱出するという一連の流れは作られていました。

実際に解いてみると、ある程度はスッキリするものが作られていました。
となると、ますますありふれた謎じゃなくて、スッキリ感の質を人間の手によって高めなきゃいけない段階に来ていると思います。

Claude Code(Fable 5)が自動で作成した20個ぐらいのギミックを含んだ2D脱出ゲーム

Claude Code(Fable 5)が自動で作成した20個ぐらいのギミックを含んだ2D脱出ゲーム

 

まとめ:5つの型ごとにスッキリする瞬間を考える

パズルゲームのスッキリ感は、すべて同じ仕組みから生まれるわけではありません。

謎の意味に気づくゲームもあれば、論理を積み重ねて答えを確定させるゲームもあります。消去や連鎖によって盤面が大きく変わること、バラバラだった盤面が少しずつ整うこと、予想した動きが成功することにも、それぞれ異なる気持ちよさがあります。

スッキリ感の中心 ゲーム制作で重要なこと
閃き型 手掛かりの意味がつながる 点と点をつなぐヒントを適切に与える
推論型 考えた末に答えが確定する 頭を使えば確実に解ける盤面を用意する
対応型 複数消しや連鎖が決まり、危機を切り抜ける だんだん難しくなり、最後はギリギリでクリアできるようにする
整理型 バラバラだった盤面が整っていく 操作するほど、完成やクリアへ近づくようにする
予測型 予想した動きが成功する ある程度の試行錯誤で解けるようにする

今回の5つは、すべてのパズルゲームを厳密に分けるための分類ではありません。一つのゲームに複数の型が含まれる場合もあります。

大切なのは、自分が作るゲームでは、プレイヤーにどの瞬間を最もスッキリしたと感じてもらいたいのかを決めることだと考えています。

そこが決まれば、必要なルール、問題の見せ方、難易度、成功した時の演出も考えやすくなると思います。

以上、ゲーム開発において何かお役に立てれば幸いでございます。
ではまたー。

 

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