#18 単純なRPGコマンドバトルを改善:数ターン先を読む論理パズルにした

どうも、いしだです。
今回は、勇者とドラゴンが一騎打ちするコマンドバトルのミニゲームを作っているうちに、これがパズルゲームに近いことに気づきました。
なので「#16 パズルゲームのスッキリ感を設計する」と関連付けて記事にしています。

なお、今回の戦闘システムそのものは、私が新しく考案したものではありません。敵の行動パターンや、数ターン先まで考えて回復する駆け引きも含め、内容としては「SFC版ドラゴンクエストIの低レベルラスボス戦シミュレータ」に近いものです。

今回面白かったのは、それをひとつのミニゲームとして考えた結果です。
RPGのラスボス戦が、思っていた以上に論理パズルでした。

実際に作ったゲームはこちら
戦略バトル!ラスボス撃破

 

この記事のポイント

  • 単純なコマンドバトルでも、敵の行動を考えると戦略性が生まれる
  • 数ターン先のHPとMPから、現在選ぶコマンドを逆算する
  • 敵の行動やダメージを固定するほど、ボス戦の戦闘は論理パズルに近づく

 

単純なコマンドバトルに「先読み」を足してみた

コマンドバトルには、「こうげき」「じゅもん」「ぼうぎょ」「どうぐ」といった複数の選択肢があります。

実際の判断が「HPに余裕があれば攻撃、減ってきたら回復」だけなら、プレイヤーが考えることはそれほど多くありません。コマンドが4種類あったとしても、状況ごとに選ぶものがほぼ決まっているなら、選択肢の数ほどゲーム性が増えるわけではないからです。

そこで今回のゲームでは、現在のHPだけを見るのではなく、敵がこの先どのように攻撃してくるのかを考えてから行動を決める形にしました。

ラスボスには一定の行動パターンがあります。
ただし、すべてが固定されているわけではなく、ターンによっては通常攻撃か火の息かがランダムで選ばれます。

そのため、プレイヤーは「次に何が来るか」をひとつに決め打ちするのではなく、受ける可能性があるダメージを考えながら行動することで勝利をものにすることができます。

現在のHPだけならまだ攻撃できそうでも、その直後に強い攻撃が続く可能性があるなら、その前に回復しておいたほうが安全です。一方で、安全だからと大きな回復魔法ばかり使っていると、今度はMPが足りなくなります。

目の前の1ターンだけを見ていては勝てないようにすると、単純なコマンド選択にも戦略性が生まれます。

 

今回のお手本はSFC版『ドラゴンクエストI』のラスボス戦

今回のゲームは私のオリジナルの戦闘システムではありません。
元にしたのは、SFC版『ドラゴンクエストI』のラスボス戦です。

SFC版のRTAや低レベル攻略では、ラスボスである竜王の行動パターンを読み、その行動に合わせて回復のタイミングを変える攻略法が存在します。

単純にHPが減ってから回復するのではなく、このあと受ける攻撃まで考えたうえで、現在の行動を決めるという考え方です。

今回私がやったことは、その戦闘部分だけを取り出して、短いミニゲームとして遊べる形にしたことです。
勇者を操作し、「こうげき」「じゅもん」「ぼうぎょ」「どうぐ」から行動を選び、ラスボスを倒します。
ゲームとしては非常にシンプルです。

しかし、このラスボス戦だけを単独のゲームとして遊んでみると、それまでRPGの「戦法」として見ていたものが、私にはパズルの延長に近く感じられました。

ラスボスの行動パターンが決まっていると、戦略性が重要になり、パズルゲームのようになる

ラスボスの行動パターンが決まっていると、戦略性が重要になり、パズルゲームのようになる

 

RPGなのに、単独ゲームにするとパズルに近かった

SFC版『ドラゴンクエストI』を普通に遊んでいたときは、ラスボスの行動パターンなどは気づかず、とにかくレベルを上げて強くして、HPが減ってきたら回復、それ以外は打撃という単純な思考でクリアまで行くことができました。

ところが今回、低レベルのラスボス戦だけをひとつのゲームとして切り出したことで、印象が変わりました。
純粋に戦術が重要になってくるからです。
レベル上げや装備購入、街の探索といったRPG全体の要素を取り除くと、残るのは現在のHPとMPを見ながら、いかに生き残って攻撃に転じるか。

考えてみれば、ターン制RPGの戦闘とパズルには共通する部分があります。

相手の行動がある程度分かっているという前提ならば、「この行動を選ぶと、その後どうなるか」を把握できます。
その中で安全な行動を選ぶという部分は、私には論理パズルに近く感じられました。

冷静に考えれば、現在HPが次の2ターンで最大ダメージを下回らなければ生存し続けられる

冷静に考えれば、現在HPが次の2ターンで最大ダメージを下回らなければ生存し続けられる

 

乱数をなくすと、さらに論理パズルに近づく

今回のゲームでは、元にしたラスボス戦に合わせてランダム性を残しています。
ターンによっては、敵が通常攻撃をするか、火の息を使うかが事前には分かりません。

そのためプレイヤーは、「次は弱い攻撃だろう」とそちらに賭けて動くのではなく、強いほうの攻撃が来た場合でも耐えられるかを考えるのが正解です。

この不確実性があることで、コマンド選択型RPGには戦略シミュレーションに近い感覚も残っています。

すべて固定すると正しい手順を探すゲームになる

では、もしここからランダム性をさらに減らしたらどうなるでしょうか。

・敵は必ず決まった順番で行動する
・プレイヤーは必ず先攻する
・攻撃によるダメージと回復量も固定する

この条件なら、あるコマンドを選んだあとにHPとMPがいくつ残るのかを計算できます。
さらに次のターン、その次のターンまで同じように計算していけば、ゲーム終了までの状態も追えるようになります。

そうなると、見た目はRPGのコマンドバトルでも、遊びとしては「正しい手順を探す問題」になります。
これは論理パズルそのものです。

逆に乱数を増やせば、未来を正確に読むことは難しくなります。
するとプレイヤーが考えることも、「正しい手順を見つける」ことから、「複数の展開にどう対応するか」へ変わります。

同じコマンドバトルでも、不確定要素をどの程度入れるかによってゲームの性格が変わるということです。

コマンドバトルに、不確定要素をどの程度入れるかでゲームの性格が変わる

コマンドバトルに、不確定要素をどの程度入れるかでゲームの性格が変わる

この改善例からミニゲーム制作に使えそうなこと

今回の改善例から私が一番面白いと感じたのは、コマンドの種類を増やさなくても、プレイヤーに考えさせることはできるという点です。

今回なら、敵の次の行動がある程度予測できます。
現在のHPだけを見て行動するのではなく、その先から逆算してコマンドを選べます。

もし敵が毎回まったく予測できない攻撃をしてくるのであれば、先読みする意味は薄くなります。反対に、すべてが固定されていれば、今度は正しい手順を探すパズルとしての性格が強くなります。

ミニゲームに考える要素を足したいとき、選択肢そのものを増やす方法もあります。
しかし今回のように、選択肢は少ないまま「未来をある程度見せる」という方法もあります。

私が今回もっとも面白いと感じたのは、RPGとして昔から存在していた戦闘をひとつのミニゲームとして切り出しただけで、その裏にあるパズル的な構造が見えたことです。

ジャンルは見た目だけでは決まらないのかもしれません。

RPGのコマンドバトルでも、未来を読んで現在の行動を決める設計にすれば、パズルゲームに近い遊びを作れる。
今回のゲームは、そのことを考える改善例になりました。

 

Q&A

Q. コマンドバトルはパズルゲームになりますか?

条件によっては、非常に近い構造になると私は考えています。
敵の行動、自分の行動、ダメージなどがある程度予測できれば、数ターン先の状態から現在の行動を逆算できます。
特に未来の状態を計算できるほど、論理パズルとしての性格が強くなります。


 

Q. 敵の行動を固定するとゲームはつまらなくなりませんか?

固定すること自体が、つまらなさにつながるとは限らないと思います。
今回のように、敵の行動が分かるからこそ数ターン先を考えられるゲームもあります。
どこまで未来を見せるかによって、「不確実な状況に対応するゲーム」にするのか、「正しい手順を考えるパズル」にするのかが変わります。


 

Q. 敵の行動は固定とランダムのどちらが面白いですか?

どちらを選ぶかは、作りたいゲームによると思います。
敵の行動やダメージを固定すると、正しい手順を考えるパズルに近づきます。
ランダム性を残すと、複数の展開を想定しながら安全な行動を選ぶゲームになります。
今回のゲームでは、その中間に近い作りになっています。

 

さいごに

今回は、SFC版『ドラゴンクエストI』のラスボス戦をお手本に、コマンドバトルのミニゲームを作りました。

戦闘システムそのものに、私の新しい発明があるわけではありません。

しかし、RPG全体からラスボス戦だけを取り出して遊んでみたことで、「相手の行動がある程度決まったターン制バトルは、パズルゲームと非常に近い構造を持っている」ということに気づきました。

さらに敵の行動、行動順、ダメージまで固定すれば、未来の状態を計算できるため、コマンドバトルの見た目をした論理パズルとして設計することもできます。

既存ゲームの一部分だけを取り出してみると、それまでとは違うジャンルの面白さが見えてくることがあります。

これは、新しいミニゲームのアイデアを考える方法としても使えそうです。
それではまたー。

実際に作ったゲームはこちら
戦略バトル!ラスボス撃破

 

 

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